ガラスの瞳。

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命をつなぐということ。





ことの発端は8月4日。
禅が鉄琴のバチを目に当ててしまったことから始まりました。
目に入ったら危ないからと、届かないところに置くも、
Roseが使ってそのままにしたのを禅が見つけ。。。
危ないからマミーに頂戴と言っても頑なにくれず、
取り上げた勢いで目に入るのも危ないし、
上手に遊んでるから大丈夫かなと思った矢先のことでした。
当てた眼を手で覆うも泣くことなく、しばらくしたらまた遊び始めたので
良かった大丈夫そう。
その時は来客があったので、そのまま普通に過ごし、
夕刻、夫がお風呂に入れた時に異変に気がついた。

瞳孔が丸くない。
まるで猫のように楕円になっている。
すぐさまA&E(救急)へ行き、診てもらうも、
眼科の先生が帰った後なので、翌日眼科で診てもらう手はずをしてもらいました。

その夜は眠れなかった。
どうしてすぐに気がついてやらなかったのだろう。
眼科の先生が帰る前に行けたはずなのに。。
どうして危ないとわかっていて、バチを取っておいたのか。。
捨てておけばこんなことにはならなかったのに。。。

翌日、眼科へ行ってみると、

瞳孔の変形は、バチのものではなくてもっとずっと前からのものですね。
そして異変のある眼の視力が、あまり良くないようです。
詳しい検査が必要ですが、まずはシニアドクターに診てもらいましょう。
明日また来てください。

眠れぬ夜が続く。
そして、禅の写真を月日をさかのぼって調べた。
本当に、少し前の写真の瞳孔が楕円になっていた。
バチのせいじゃなかった。
だとしたらずっと昔に、誤って私の指が入ったことがあったから、
あの時傷が原因なのかしら。。。
私のせいで失明してしまったらどうしよう。。


バチで傷ついた眼の表面が少し盛り上がって充血したおかげで、
この異変に気がつくことができた。

シニアドクターの診断も、同じ回答。
全身麻酔をして詳しく見てみましょうと、翌週14日に詳しい検査を受けることに。
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検査する目の上に、ニッコリマークを書いてくれて。
瞳孔を最大に広げる目薬、麻酔の目薬をし、
瞳孔が最大に開いてから全身麻酔をするため、麻酔室へ。
私が抱きながら、ララバイを歌い、
その間、マスクをして眠らせる。
初めは嫌がるけれど、30秒ほどすると脱力。
頬にキスをして私は退室。
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瞳孔の形状がわかるように、色合いや明るさを変えています。
このように、半円の状態。

検査のための麻酔なので、10分程度効くように少量の全身麻酔。
その場で処置ができそうなものなら、その場で処置するとのこと。

麻酔が覚めて、禅に会いに行ったけれど、処置がされた様子はない。
簡単な措置で終わるものではないのだと、心のうちで落胆する。
ドクター曰く、
眼球内に何かシストのようなものがあるようです。
非常に稀なケースで、医者人生で10人程しか見たことがない。
ただ、網膜は綺麗です。と何度も繰り返し言われました。
ここの施設では、これ以上詳しく調べられないので、
網膜芽細胞腫(retinoblastoma(レティノブラストーマ):網膜芽細胞腫。眼球内に発生する悪性腫瘍である。 大部分は2〜3歳ころまでに見られる小児がん。なにも手を打たなければ、寿命は5歳と言われている)や目の癌を専門に扱う病院へリファーします。
でも網膜はとても綺麗でしたから、網膜にできる小児癌ではないと思われるので、
怖がらないでくださいね。
この病院は、目の癌を専門に扱っているだけに、機材が揃っているのです。
なので、しっかり詳しく診てもらいましょうね。

看護婦さんが出口まで抱っこしてくれて、最後にキスしてくれたよ。
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その後、とりあえず気分転換にホリデーへ。
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普段ジュースを飲ませてもらってないから、りんごジュースがとっても美味しかった♡
この旅以降、ビールを見るとりんごジュースだと思い欲しがる禅。苦笑
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ホリデー先でも、ちゃんといただきます!
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ホリデーから戻り、空港から家に向かってる車中、
網膜芽細胞腫(以降、Retinoblastoma)科から電話。
2週間後に検査をするとのこと。
そして、それが9月2日のことでした。

網膜は綺麗と何度も言われたので網膜芽細胞腫ではないという確信はあった。
けれど、眼球内、それも瞳孔を圧迫するほど前方にあるシスト。
調べてもなかなかみつからず、禅の瞳の色が茶色に変化しているから、
ひょっとしたら、ぶどう膜悪性黒色腫かもしれない。。。
でもたぶんきっと、過去の傷が原因で膿が溜まっているだけだろう。
そう信じたい。
でもそうだとしたらやっぱり、私の指が誤って目に入ったせいかも。。
ごめんね禅。。。涙
眠れず悩む夜が続く。

正直、病院へ行くのが怖かった。
禅はきっと大丈夫。そうどこかで信じながら、
私たちと同じような不安に押しつぶされながら祈る親子や、
後遺症が出るかもしれない放射線治療、眼球摘出、
苦渋の選択を迫られた親と、その運命を背負ったことにすら気付くわけもない幼い子供達がいるのかと思うと、胸が苦しく、怖かった。


当日。
まずは視力検査。といってもまだ小さいので絵を見て、
その絵を視点が捉えてるか否かを調べる。
その後は前回と同じ流れで、目薬を数腫してから全身麻酔。

全身麻酔待ち。脱出を試みる人。
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検査後。
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検査結果は、他に待っている患者さんの検査全てが終わってから
ドクターが来て説明するとのことで、かなり長い時間待ちました。
他の家族達が安堵して帰っていく中、次は禅の番。

やっと来た、と思ったらナースだけでした。
ナースが、ここでは騒がしいので別の場所でお話ししましょうと、個室へ移動。
夫と顔を見合わせ、これは悪い結果なのだ。。。と予測できた。
もうこの時点で、頭を殴られたような衝撃。
個室に行くと、ドクターが3人座って待っていました。

結果は、網膜芽細胞腫ではなかった。
網膜芽細胞腫は、日本では年間80人がかかる率の稀な病気。
禅の病気はさらに稀で、人口が日本の半分のイギリスで、18ヶ月に一人の割合だそう。
イギリス中の眼の難病は、すべてこの科にリファーされるけれど、
最後に同じ症例を見たのは7年前だそう。

禅の診断は、Medulloepithelioma。
この腫瘍は通常脳にできる小児性の脳腫瘍で、増殖が早い。
禅のように、眼球内にできるのは非常に稀なケース。
あまりに稀すぎて、日本語での同様のケースをネット検索できなかった。
(英語ではありました。)

ドクターは、
治療には3種類あります。
放射線治療。
(ion beam radiotherapyと言って、日本ではかなり普及されてるそうですが、
イギリスではまだ眼の癌のみの適用)
手術。
眼球摘出。
しかしながら禅の場合、放射線治療はあまりにも腫瘍が大きく適用できない。
ひと昔前は手術をしていましたが、今はあまりやらないです。
というのは万が一癌だった場合、転移するリスクが極めて高くなる。
そして再発した場合、今以上の速さで増殖するのでオススメできない。
我々の結論は、眼球摘出が最もリスクがなく安全な治療だという結論です。
I am sorryと締めくくられた。とても誠意がこもっていた。
その後、来週水曜日の9月9日、摘出手術をします。と告げられた。

ショックだった。
けれど、眠れない日々が腹を据えるのを手伝ったせいか、気丈に振舞えた。
でもどうかな。
あまりにショックすぎて、何も感じられなかったのかもしれない。


選択肢すらなかった。


その進行の速さを私自身が既に理解していただけに、
待ったをかけることすらも出来なかった。


今年3月の時点では、
両目ともほぼ同じ色、瞳孔も丸かった。

3月
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4月
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4月の時点でも、瞳孔は丸い。
眼の色がほんのり茶色くなりかけているけれど、差異はほとんどない。
けれどこの画像を明るく、色調を濃くすると、左右の色の違いが見てとれる。
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5月
若干右側の瞳孔が押されているが、まだほぼ円形を保っている。茶色部分がわかる。
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とんで8月。茶色がかなり全面に出てきている。わかるかな?左が青で右が茶に見えるの。
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9月。瞳孔がかなり圧迫されて変形しているのがわかる。
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色の変化は前から気がついていました。
ただ私自身、青い眼をして生まれ、後に茶色に変化しているし、
Roseの眼の色も、青から現在少しグリーンがかかってきている。
禅の健康な瞳も、以前はもっと青かった。
人種的に、眼の色が変わることが稀なことではないだけに、
あまり深刻にとらえることはなかった。
それよりも、たった数ヶ月での変化。
かなりの速さで進行しているのが、医者でない私でさえわかる。
このまま放置するわけにはいかない。
前を向くしかない。足踏みしてる時間はない。

念のため、診断が正しいかの判断と、腫瘍の大きさを測るために
9月4日、CTを撮ることに。

CT撮った後、ご褒美のシール貼ってくれたよ。
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結果は、ドクターが思っていた以上に腫瘍が大きかったこと。
ただ、CTで見た感じでは腫瘍が眼球内に収まっているように見えると。
治療方法が覆されることはなかった。
眼球摘出が、確定した。

眼球摘出後、すぐに病理検査にかけ、
結果が出るのが2週間後。
もし悪性腫瘍だった場合でも、眼球内に腫瘍がとどまっていれば安全。
もし、神経や表面にがん細胞が出てしまっていた場合、
抗がん剤治療を受けることになります。
癌でないことをとにかく祈るばかり。
眼球摘出、それで全て終わりにしたい。

ナースが、今の義眼はとてもよく出来ていてね、
ぱっと見ではもう見分けがつかないのよ。
健康な眼に合わせたものを、全てオーダーメイドで一つ一つ手作りで作るの。
それに、眼の筋肉を残すので、ちゃんと健康な目と連動して動くのよ。
だから、どうか気を落とさないで。
何十回でも構わないから、気になる事、不安な事があったら
この番号に電話してね。と紙を渡された。

少し気が楽になった。
それでもやっぱり気がかりで、自分なりに色々ネットを検索をする。
日本語で検索すると、まぶたの筋肉が衰えたり、
義眼も成長に合わせて大きさを変えないと、眼の大きさが左右対称でなくなり、
それで顔が歪んでしまうこともあるなど、
怖いことがたくさん書いてあった。
それを一つ一つ問い合わせたけれど、
問題ないことを確認できた。
気に入らなければ、何度でも義眼を作り直してくれると。
外見を気にする歳頃になれば、
心のケアやサポートもやっています。と。
そうね、きっと大丈夫。やっと心からそう思えた。


最初は、目薬が浸透するように瞳孔部分に穴の空いた義眼が入ります。
その後、既成品だけれど禅の白目と瞳の色に近い義眼を入れます。
半年後、傷が完治したら、型を取って禅にぴったりのを作成します。

あの子の視力はすでに落ちていて、
片目で見る癖がもう養われてるはず。
だからきっと、義眼になってもすぐにアジャストするだろう。
問題は親である私たちの気持ち。
人懐こい性格の禅は、見知らぬ人にもいつもニコニコ。
今までなら、見知らぬ人も禅に笑顔を見せたけれど、
義眼と分かれば、笑顔を返さない人だってきっと出てくる。
今まで通りにはきっといかなくなる。
時には好奇な目で見られるかもしれない。
それまでとの違いに、彼が戸惑うのではないかと、
悲しい思いをさせてしまうのではないか、それが気がかり。
でもそれだって、きっと半年の我慢。
オリジナルのが出来れば、きっとまた今まで通りになるはず。

とっておきのを作ってもらおうね。
マミーがお腹の中で作ったお眼目にはかなわないけれど、
また本来の青い綺麗なお眼目に戻れるよ。

どうか禅をよく知るお友達の皆さん、
義眼になった彼にも、今まで通りの笑顔で接してやってください。



天使のようなあの子が、本当の天使になってしまわないように。

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禅は、眼を失うのではない。
命をつなぐ、命を得るためにglass eyeになります。



コメントお返事できなくてごめんなさい。
タニア

[PR]
by tanyajohnson | 2015-09-07 23:59


質素ときどきご褒美な暮らしの覚え書き。


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